体罰防止ガイドライン

体罰防止ガイドライン

 

体罰は、学校教育法第11条で禁止されており、当クラブの指導者(コーチ等)は
 選手への指導に当たり、いかなる場合も体罰を加えることはできません。

 

1.体罰とは

①  体罰は、選手の心身に癒しがたい傷を残し、クラブや指導者(コーチ等)に対する
信頼関係を損なうものです。
②  体罰は、正常な倫理観を養うことはできず、むしろ選手に力による解決への志向を
助長させ、いじめ・暴力行為などの連鎖を生む恐れがあります。
③  「体罰」と「懲戒」とは別のものです。
④  体罰は人権侵害です。

 

2.体罰の具体例

当クラブでの指導において、学校教育法、運動部活動を巡る判例、社会通念等から、指導者に
よる下記の①から⑥のような発言や行為は体罰等として許されません。
また、これらの発言や行為について、指導者と選手との間での信頼関係があれば許されるとの
認識は誤りです
。指導者は、具体的な許されない発言や行為についての共通認識を持つよう努めて下さい。

①  殴る、蹴る等。
②  社会通念、医・科学に基づいた健康管理、安全確保の点から認め難い又は限度を超えた
ような肉体的、精神的負荷を課す。

(例)
・長時間にわたっての無意味な正座・直立等特定の姿勢の保持や反復行為をさせる。
・熱中症の発症が予見され得る状況下で水を飲ませずに長時間ランニングをさせる。
・相手の生徒が受け身をできないように投げたり、まいったと意思表示しているにも関わらず
攻撃を続ける。
・防具で守られていない身体の特定の部位を打突することを繰り返す。

③  パワーハラスメントと判断される言葉や態度による脅し、威圧・威嚇的発言や行為、
嫌がらせ等を行う。
④  セクシャルハラスメントと判断される発言や行為を行う。
⑤  身体や容姿に係ること、人格否定的(人格等を侮辱したり否定したりするような)な
発言を行う。
⑥  特定の生徒に対して独善的に執拗かつ過度に肉体的、精神的負荷を与える。

 

3.認められる懲戒の例

通常、懲戒権の範囲内と判断されると考えられる行為とされ、肉体的苦痛を伴わないものに限ります。

① 指導対象選手の年齢や体格を踏まえた適切な負荷及び回数の練習課題を課す。
② 練習活動の際、活動を妨げる行為の多い選手を注意する。また、注意しても改善が見られない場合、一時的に活動から除外させる。
③ 適切な理由なしに試合に遅刻した選手を試合に出さずに見学させる。

 

4.正当な行為の例

通常、正当防衛、正当行為と判断されると考えられる行為に限ります。
① 選手が指導者の指導に反抗して指導者の足を蹴ったため、体を強く押さえる。
②  練習活動を妨げる行為があった選手を冷静にさせ、別の場所で指導するため、別の場所に移るよう指導したが、なおも大声を出し続けて抵抗したため、選手の腕を手で引っ張って移動させる。
③  他の選手をからかっていた選手を指導しようとしたところ、当該選手が指導者に暴言を吐きつばを吐いて逃げ出そうとしたため、選手が落ち着くまでの数分間、肩を両手でつかんで壁へ押しつけ、制止させる。

 

5.体罰防止チェックシート

体罰を根絶するためには、自分自身の体罰に関する見解を再認識し、選手への指導の在り方を
見直しすることが重要です。下記の項目をチェックすることで、日頃の指導を振り返って
みましょう。

【監督、代表、事務局の自己チェックシート】

□指導が困難な選手への対応を、特定の指導者(コーチ)だけに任せきりにしていないか。
□各カテゴリーの指導体制について把握しているか。
□クラブ全体で体罰によらない指導の在り方について、全員で研修を行っているか。
□体罰を行ったり、体罰が行われていることを知った際の報告・連絡・相談する体制はできているか。

【指導者の自己チェックシート】

□選手の言動や態度に、感情的に対応することはないか。
□体罰は人格を傷つける行為であり、選手の人権を侵害する行為であることを認識しているか。
□多くの選手の前で、一人の選手を叱責することはないか。
□クラブ活動において結果を残すために、厳しい指導も必要であると考えていないか。
□同僚が体罰を行った場合、制止したり注意したりすることができるか。
□人間関係ができていれば、多少の体罰は問題にならないと考えていないか。
□選手は指導者(コーチ)に逆らえないことを認識しているか。

 

6.アンガーマネージメント

体罰を起こしてしまった指導者の中には、体罰を起こしてはいけないという認識を持ち、日頃の指導をきちんと実践していながらも、『プライベートや職務上でストレスが溜まっていて、精神的に不安定な状況だった』等により、思わずカッとなって自分の感情を抑えられず手が出てしまったという事例が多くあります。

このカッとなる感情、怒りの感情をコントロールする一つの方法として、【アンガーマネージメント】があります。怒りの原因や、怒りからおこる影響にある項目を見て、自分自身に当てはめながら、自分なりの怒りのコントロールの方法を考えてみましょう。

怒り(イライラ)のコントロールするために《日頃から》

□自分の中の怒りがどこから来るのか、考えてみましょう。
□なぜ自分がそこまで怒ってしまうのか、自分への理解を深めましょう。
□自分と相手の立場の違いを認め、相手の考え方を理解する努力をしましょう。
□怒りが発生してしまうときの状況を、シュミレーションしておきましょう。
□日々の体調を管理するようにしましょう。

怒り(イライラ)のコントロール方法《カッとなったときに》

□『大丈夫』『成長するチャンス』等、魔法の呪文を用意しましょう。
□呼吸を大きくゆっくりしてみましょう。深呼吸しましょう。
□6秒ルール…頭の中で6秒カウントしてみましょう。
□選手との距離を取りましょう。状況によってその場を離れましょう。
□怒りの感情をふるい落とすように、大きく身体を動かしてみましょう。

7.ガイドラインの運用について

① 本ガイドラインを基に体罰の防止及び監視を実施します。
② 本ガイドラインの運用状況を把握するため、年2回実施を原則とした別紙アンケートをクラブ
関係者全員を対象に実施します。
③ 本ガイドラインは運用の結果、追加及び修正が必要となった場合には適宜改訂を行います。
④ ガイドラインを改定した場合、その都度、クラブ関係者を対象に印刷物の配付及び電子メールなど複数の伝達手段を用いて周知徹底を図ることとします。

 

<参考文献>

1.体罰防止マニュアル:茨城県教育委員会、平成25年8月
2.運動部活動の在り方に関する調査研究報告書 ~ 一人一人の生徒が輝く運動部活動を目指して ~

:文部科学省(運動部活動の在り方に関する調査研究協力者会議)、平成25年5月27日

以上

2013年11月1日

体罰防止ガイドライン_20131027

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